群像短篇名作選(1970-1999)

群像短篇名作選(1970-1999)(講談社文芸文庫)を読んだ。1970年から1999年は概ね自分が生まれてから結婚して親になるまでの30年で、80年代の後半以降は同時代の作品も読んでいたはずなのだが、収録されている作品のうち「樹影譚」や「生きる歓び」のように再々読した作品もある一方で、一作も読んだことがなかった作家の作品も多く含まれていて、それが理由かは分からないけれど、1946年-1969年版以上にそれぞれの作品のスタイルやトーンが多様さを増してきた印象を受けた。この展開が2000年-2014年版でどう進化していくのか、今から読むのが楽しみだ。何冊か並行して読んでいたこともあって1946年-1969年版を読んでから一か月余りの時間が経ってしまったが、この間、収録されている大江健三郎の「無垢の歌、経験の歌」を読み終えた翌々日に同氏の訃報に接し、一昨日は坂本龍一の訃報を聞くことになった。世代が代わっていくことを感じさせられた一か月だった。