エゴン・シーレ展(東京都美術館)

東京都美術館で「エゴン・シーレ展」を観た。エゴン・シーレを初めて知ったのは中学生だった頃で、同級の友人から教わった記憶がある(誕生日が近いこの友人からもらった「ライ麦畑でつかまえて」や「ランボーの生涯」は今も我が家の本棚にある)。高校生の頃に伊勢丹美術館で開催された「エゴン・シーレとウィーン世紀末展」を観に行き、この時にポストカードを買った「哀しみの女」を表紙にした五木寛之の同名の小説を書店で見つけて購入したのは大学に入ってからだったと思う(この本も本棚にあった)。その後は特にシーレと接点があった記憶はないのだが、数年前に妻と三女がオーストリアとチェコを旅行した時に、ウィーンのレオポルド美術館やチェスキー・クルムロフのエゴン・シーレ・アートセンターでシーレの絵を観てきたという話を聞いた。とはいえ、シーレについて学んだことはなく、何となくあの画風のような独特の孤独な内面を抱えて世間と折り合いがつかぬまま短い人生を終えた画家といったイメージを持っていたのだが、今回の展示からは、むしろシーレの世俗的で外連味もある姿を感じた。クリムトにも似た印象を持ったこともあり、やはりあの時代のウィーンの雰囲気なのだろうか。