神舞の庭(宮崎県立芸術劇場)

東京芸術劇場シアターウエストで「神舞の庭」(作:長田育恵、演出:立山ひろみ)を観た。先週の北九州芸術劇場の芝居に続く地方発信の芝居で、宮崎県立芸術劇場が2016年度から行っている約1か月間の宮崎滞在で作品創作を行う「新 かぼちゃといもがら物語」の第7回公演にして初の東京公演である。2時間余りの芝居を観終えて、背筋が伸びるような印象を受けた。10人の登場人物それぞれに作り手が時間をかけて丁寧に向き合った誠実さが感じられるからだろうか、あるいは書き込み語り込むことを恐れずに観客に向かうパワーに打たれたからだろうか。神塚山の祖先や神様が神舞の庭に下りて来るように、芝居の祖先や神様が舞台に下りて来るような、そんな清々しく悦ばしい空気を感じられたように思う。
余談だが、劇場で頂いた公演パンフレットの記事で、弘前劇場の長谷川孝治が今年1月に亡くなったことを知った。演劇に疎い自分は、6年前にNHKのハイビジョン特集「上京~故郷に背を向けて~」の再放送で弘前劇場を知り、すぐに長谷川孝治の「地域と演劇 弘前劇場の三十年」を買って読んだ記憶がある。三女の本棚にあったこの本を手に取ってパラパラと読みながら、弘前劇場の芝居を観られなかったことを残念に思っている。映像でも良いので、観られないだろうか。