六本木クロッシング2022展:往来オーライ!(森美術館)

森美術館で「六本木クロッシング2022展:往来オーライ!」を観た。「六本木クロッシング」は森美術館が2004年から3年に一度開催してきた日本の現代アートのシリーズ展だが、2019年は観に行っていない。今回観に行ったのは、大竹伸朗展を観て、今のアートに触れてみたいという気持ちが強まったからかもしれない。22組の作家の作品を2時間程度かけてそれぞれ楽しませてもらったのだが、全体的な印象として、アイディアを形にするまでの時間が短く速くなっているように感じた。それは技術の進歩であり、また時代のスピード感覚かもしれない。例えば、ビーバ/彫刻家/自動切削機の「彫刻」を並べたAKI INOMATAの作品には、それぞれの「彫刻」に流れる時間の差異を感じさせられたが、機智に富んだその作品の時間の流れは速い。写真や映像の作品も、数年をかけて制作されているとしても、データを電気的あるいは化学的に形に変換した作品にはやはり時間の短さや速さを感じる。それに対して青木千絵の何かを孕んだ身体を漆で表現した作品や呉夏枝の織物の作品には、その素材や技術が培われた長い時間を感じることができる。どちらが良いわけでもなく、どちらもあって嬉しいのだが、森美術館の広い窓から東京の街を見下ろしながら、長い時間と膨大な記憶を身体に溜めて凝縮した上で発散するような作品に接したいと思ったりした。残念ながら週末の美術館はやや空いていたのだが、様々な挑戦をされているアーディストに接する機会を作っていただいたことに感謝したいと思った。