フランシス・マクドーマンド

Olive Kitteridgeを観た流れで、フランシス・マクドーマンドがアカデミー主演女優賞を受賞した3本の映画を観た。「ファーゴ」を観るのは4回目くらいだけれど(誇張された登場人物が悲劇の連鎖を生み出す有様は、ある意味人間社会の悲劇の縮図を見るようで、この作品は悪ふざけに満ちた古典的な傑作ではないかと思う。)、「スリー・ビルボード」と「ノマドランド」を観るのは初めてで、続けて観てみると、確かにマクド―マンドがそれぞれの映画で演じるキャラクターに魅力と説得力を感じるのだけれど、それがミシシッピー・バーニングやコーエン兄弟の他の作品などを通じて築かれたマクド―マンド個人の俳優としてのキャラクターとも分かちがたく結びついて、より一層ファンの心を動かし支持を集めているような気がする。ドキュメンタリータッチの「ノマドランド」はそうした魅力に溢れた映画で、作り手が寄り添いつつ美しく描いたハウスレスな人たちの姿に、バックパッカー旅行中に出会った年長者のことを思い出したりもした。この映画は気になりつつもコロナ禍で劇場に足を運べずにいたのだけれど、次は、どこかの名画座の暗闇の中に身を沈めて、まばらな観客と一緒に観てみたいと思っている。