Olive Kitteridge(TVドラマ)

先日読んだ「オリーブ・キタリッジの生活」を原作とするTVドラマがあると知って、2014年に米国HBOで放送されたTVドラマ全4話(各話約1時間)を観た。最初は原作とはやや異なるフランシス・マクドーマンドが演じるオリーブの印象や独特の渋いユーモアに多少の落ち着かなさを覚えたものの、メイン州の自然や街並みの透明感のある美しさは格別で、続けて観ていくと、原作の様々な短編のエピソードが各話に重なりつつ散りばめられた構成や、老いていくことで重さを増していく人々の孤独の手触りに奥深さを感じた。登場人物のキャラクターや自然の描写を通じてクロズビーの街の空気を描いていくような原作の広がりのある魅力と比べると、TVドラマには、よりキャラクターに焦点を当てた凝縮感のある味わいがあるように思える。名優が出演しているとはいえ、楽しい出来事はあまりなく、辛い出来事を経験しながら老いていく普通の(やや変わった)人たちを苦めのユーモアを交えながら描いた(ある意味では地味な、高畑淳子と小林薫が老夫婦の日常を演じているような)この作品がエミー賞の作品賞を含む主要6部門を受賞したというのは、多少意外でもあるのだが、大いに納得もさせられた。