中動態の世界 意志と責任の考古学

國分功一郎著「中動態の世界 意志と責任の考古学」(医学書院)を読んだ。購入してから1年以上も積読の状態だったのだが、著者の「100分de名著 エチカ」(NHK出版)を読んで、やはり世評高いこの本を読んでみたいと改めて思い、重い腰を上げることになった。しかし、読み始めてみると、自分のような門外漢にも分かり易く書かれた文章で、章立てを短く区切り、前章のまとめを各章の冒頭に配するなど、読者への親切な配慮が行き届いていて、骨のある内容であるにもかかわらず、短時間で読み進めてしまった。自分なりに受け取ったこの本の問題意識は、これからいろいろなものと繋がっていくように感じているのだが、まずは、昨年読んだ小松美彦著「『自己決定権』という罠」(現代書館)で論じられた自己決定権というコンセプトの問題、あるいは、「僕がほしいのは外からやってくる力を受けて、それに耐えるための強さです」(村上春樹著「海辺のカフカ」(新潮文庫))といった個人の「自由」を守る生き方との関係で、折に触れてゆっくりと考えていきたいと思う。