雷電本紀

飯嶋和一著「雷電本紀」(小学館文庫)を読んだ。「出星前夜」と「始祖鳥記」を読んでから遡って「雷電本紀」を読むと、作者が作品を重ねるにつれて充実していった様子が感じられるようで、ますます作者に頭が下がる思いがした。かといって「雷電本紀」が魅力に薄いかというと、そんなことは一切なく、特に東京で暮らしてきた自分にとっては馴染のある地名が多いこともあり、この本を思い返しながら雷電為右衛門や鍵屋助五郎の足跡を辿ってみたいと思った。飯嶋和一の著作はすべて購入してあるので、次は何を読もうか、こればかり読んでしまわないよう今年はあと一冊にしようと思っているが、どういう順番で読もうか考えることも楽しみだ。

伝通院(鍵屋助五郎の菩提寺)
大門通り・旧高砂町(鍵屋助五郎が暮らした場所)