沖縄の美(日本民藝館)

日本民藝館で復帰50年記念の特別展「沖縄の美」を観た。東京国立博物館で「琉球展」を観てから、「沖縄の歴史と文化」(中公新書)や「沖縄文化論集」(角川文庫)といった書籍などを読んだりする中で、13世紀以降の沖縄の日本と中国あるいはアメリカに挟まれた地政学に関心を寄せる一方で、13世紀以前のおそらく文字が使われていなかった時代の沖縄にも想像力を掻き立てられた。もっとも、そんなに昔まで遡らなくとも、例えば明治20年頃の鹿児島県で自分の名前を書くことができた6歳以上の男性の比率は50%程度、女性は10%程度だったという当時の文部省の自署率調査の結果を見ても、日本の人口の大半を占めていた農村・漁村・山村の暮らしに文字が浸透したのは最近のことで、それ以前の社会では、世代を超えて受け継がれる歌や祭り、道具や雑器、織物などの工芸品が持つ意味合いも少なからず異なっていたように思える。そういう目で展示されていた沖縄の工芸品を見ると、それぞれの作品がより雄弁になるようにも感じられた。先日のテレビ東京のお宝鑑定団で紹介されていた金城次郎の作品も多く展示されていて、全体的に大らかな雰囲気が素敵だった。