東海道見附宿

八割方読み進んだ「始祖鳥記」のメインキャラクターである浮田幸吉のお墓や旧居跡が近くにあると知り、出張の仕事を終えた後、JR東海道線磐田駅から3キロほど離れた東海道見附宿を訪れた。駅前でタクシーに乗り、自身も磐田の出身で「卓球の水谷くんや伊藤美誠ちゃんも見附の同じ小学校の出身だし、長澤まさみやEXILEのAKIRAもこのあたりの出身」だと話す運転手さんに、「鳥人」浮田幸吉を知っているか聞いてみたところ、知らないとのことだった。気が早い梅雨明け直後の炎暑の中、広くはない大見寺の墓所で幸吉の墓が分からず歩き回っていると、車で待っていた運転手さんがスマホで検索した写真を見ながら出てきて、一緒にお墓を探してくれた。やっと探し当てた幸吉の墓は、小さな墓だった。近くにあるはずの旧居跡も場所が分からず、和菓子屋で名物の粟餅を買い求めながら尋ねると、郵便局を挟んで隣の家の辺りだったらしい。以前は看板があったのだが、壊れてしまい撤去されたと聞いた。帰りの新幹線の車中で仕事を忘れて「始祖鳥記」の続きを読み進め、帰宅してその日のうちに読了した。どうやら幸吉のお墓が何処にあるのか、確実なところは分からないらしい。「永遠の中に消えた」幸吉を想えば、生前の足跡を辿ることは無用かもしれないが、いつか幸吉や源太郎が生まれ育った八浜にも行ってみたいと思っている。