柴田敏雄と鈴木理策(アーティゾン美術館)

アーティゾン美術館で「写真と絵画-セザンヌより 柴田敏雄と鈴木理策」を観た。柴田敏雄のセクションでは、不揃いな規則性と規則性の破れに目が留まった。厳密に正確ではない繰り返しのパターンと、そのパターンが終わるところ、そのバランスにリズムや美しさを感じたのかもしれない。考えてみると、世の中には不揃いな規則性と規則性の破れが至るところにあって、気を付けて見ればそこにリズムや美しさが見つけられそうな、そんな気がした。鈴木理策のセクションでは、カメラの視覚とヒトの視覚の違いを感じたことで、ヒトの視覚が相対化され、自分の視覚への信頼を問い直す機会になった。最後の雪舟の四季山水図とのセクションでは、雪舟と柴田敏雄のある種の厳格さの相似性が印象的だった。柴田敏雄の写真は、ここ数年のフラットで乾いた印象を受けたプリントよりも、それ以前の滑らかに潤ったプリントにとても魅力を感じた。