焼肉ドラゴン(映画)

今年初めにNHKのプレミアムシアターで焼肉ドラゴンの芝居を観て心を動かされたので、中古のDVDを入手して映画を観てみた。映画の監督は、原作者で芝居の共同演出も手掛けた鄭義信で、芝居と映画の違いを感じてみたいという気持ちもあったのだが、改めて二つのメディアの違いを感じさせられたような気がする。例えば、余白の広さというか、芝居は様々な制約から観客の想像力を働かせるスペースが広いのに対して、映画は情報量が多く、想像力よりも理解力が働きやすいように思える。それから役者の出力も、芝居では会場の観客に働きかけるパワー、動きと声が求められるのに対して、映画では、リアリティを求めるのであれば、寄った映像も多いので抑えた演技が求められるだろう。映画のキャスティングは豪華で、特に父親役のキム・サンホと母親役のイ・ジョンウン(パラサイトで家政婦役を怪演した)は独特の存在感があったと思うが、個人的には、この作品では芝居に軍配を上げたいと思った。