資本主義と闘った男

佐々木実著「資本主義と闘った男 宇沢弘文と経済学の世界」(講談社)を読んだ。他の「積読」本と一緒に1年以上は書棚で寝かせてしまっていたのだが、昨年末に「富国と強兵」を読み終えた流れで元日から読み始め、この3連休で読了した。3年ほど前に「社会的共通資本」(岩波新書)や「自動車の社会的費用」(岩波新書)を再読した頃、宇沢弘文に関心が向いていたのだが、当時は「鶴見俊輔コレクション1~4」(河出文庫)を大事に読みながら、興味が広がった先の本を読んでいたこともあって、それきりになってしまっていた。今回改めて宇沢弘文の人と思想に触れることができて、今年は宇沢先生を起点とする読書をしてみたいと思った。経済学には全くの門外漢で、そういえば経済系の同級生が枕のように持ち歩いていたサミュエルソンの「Economics」すら読んだことがなく、宇沢先生の専門的な論文は読みこなせないと思うが、今の世の中や自分の「常識」を相対化して考える手掛かりとして、宇沢先生の問題意識や思想の在り方、そして活動の軌跡を学ばせて頂きたいと思っている。それから、本書で活写された戦後史と経済学のダイナミクスは大変興味深かった。