泥人魚(シアターコクーン)

シアターコクーンで「泥人魚」(作:唐十郎、演出:金守珍)を観た。唐十郎の芝居を観たこともなれば、戯曲を読んだこともないという真っ新な状態で劇場に足を運んだので、50分間の第一部が終わって10分間の休憩に入った時点では、正直なところこの芝居をどうやって楽しめば良いのか戸惑いも感じていたのだが、役者の体から高速で絶え間なく発せられるあれだけの量の脈絡もなく飛び跳ねる言葉を観客がその場で筋道立てて理解し咀嚼できる訳もなく、これは「Don’t think. Feel」で観るのが正解だろうと腹を括ってからの第二部の70分間は、舞台から立ち昇る猥雑で純粋で撓やかで力強い紅テントの匂いがやっと自分の鼻腔にも届いたのか、文字通り何度か鳥肌が立った。あの空間に足を運んで良い経験ができたと思う。それにしても、宮沢りえは驚くほど若々しかった。