「乱」(黒澤明監督)を観た。改めて映像も、美術も、衣装も、役者も贅沢な映画だと思ったが、今回は特に音楽の魅力を強く感じた。武満徹の玄妙な音楽も、札幌交響楽団の精緻な演奏も素晴らしいと思った。これだけの作品を創り上げる力量には敬服するしかない。この夏、「リア王」の現代英語訳を横目に日本語訳を何冊か読み比べた際に、久しぶりに「乱」を観てみようと思ってDVDを購入したのだが、「リア王」と「乱」の、演劇と映画の、言葉との距離感の違い、映像の時代に言葉がどう位置づけられるのかについても考えさせられた。機会があったら、「リア王」の舞台も観てみたい。