無縁・公界・楽

網野善彦著「無縁・公界・楽」(平凡社)を読んだ。高校3年生の時に予備校の日本史の講義で「大学に入ったら読んでみてください」と勧められ、大学1年生の時に購入して読んだ本で、その後も網野善彦の本は何冊か読んだが、この本が一番思い出深い。勧めてくれた新谷尚紀先生が、昨夏、朝日新聞の「語る 人生の贈りもの」を書かれていたのを読み、この本を再読してみようと思ってから1年以上経ってしまった。歴史資料を読む力がないので、理解の及ばないところも多いのだが、「無縁」の逞しさと研究者の情熱に心を打たれた10代の頃の気持ちを少し思い出すことができた。高校の世界史の先生に紹介されて読んだアイリーン・パウア著、三好洋子訳「中世に生きる人々」(東京大学出版会)も再読してみたが、こちらは半分ほど読んだところで図書館の返却期限が来てしまった。あの頃の自分の年齢になった子供たちを見て、自分を培ってくれた本と再会してみたい気持ちになっているのかもしれない。